むらさきの雲にまがへる菊の花
にごりなき世の星かとぞ見る
- 歌の意味
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紫の瑞雲と見まがうばかりの菊の花は、濁りなき御代に輝く星かと見えることです。
- 鑑賞
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第一部 藤裏葉
源氏の歌への返しである。太政大臣は、あの紅葉賀の折には源氏と立ち並んで同じ舞を舞ったものだが、自分も人よりはすぐれた身でありながら、やはりこの御方の格別なことは比べようもないと、あらためて思い知られる。ちょうど時雨が、折を心得たように降ってくる。大臣は「今こそご栄達の時であられます」という祝いの言葉を添えて、この歌を詠んで源氏に申し上げた。
「むらさきの雲」は瑞雲のこと。徳の高い天子の御代にたなびくとされる、めでたい雲である。「まがへる」は見まがうばかりの、の意。「菊の花」は源氏をたとえる。「にごりなき世」は聖天子の治める清らかな御代、「星」もまた源氏をたとえる。「久方の雲のうへにて見る菊は天つ星とぞあやまたれける」を踏まえ、菊の花を天上の星に見立てている。帝と朱雀院という二つの日月に並び立つ源氏を、瑞雲のなかの星になぞらえて、その並ぶもののない栄華をたたえている。源氏が私的な追憶を詠みかけたのに対し、大臣は公の祝賀の言葉で応じており、二人の立場の違いと変わらぬ友情とが、この唱和に同居している。少年の日の高麗人の予言がここに実現し、源氏は栄華の絶頂に立つ。第一部はこの祝福の一首をもって締めくくられる。
むらさきの雲:紫の瑞雲。徳の高い天子の御代にたなびくというめでたい雲。
まがふ:見分けがつかない。見まがう。
菊の花:ここでは源氏のたとえ。
にごりなき世:清らかに治まった御代。
星:ここでも源氏をたとえる。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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