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若葉さす野辺の小松を引き連れて
もとの岩根を祈る今日かな

歌の意味
若葉の芽ぐむ野辺の小松を引き連れて、もとの岩根の変わらぬ長久を祈る今日であることよ。
鑑賞
第二部 若菜上

 年が明けて光源氏は四十歳を迎える。正月二十三日の子の日、養女の玉鬘が二人の幼い子を連れて六条院を訪れ、長寿を祝う若菜を献じた。玉鬘はかつて源氏に引き取られて育てられ、今は髭黒の北の方となっている。子を伴って賀を営む姿に、源氏は年月の流れを思わずにいられない。この歌はその折に玉鬘が詠んだもので、源氏はただちに返しを詠んで応じる。若菜上という巻名は、この若菜と源氏の返歌とに由来する。

 「若葉さす」は若葉が萌え出ることをいう。「野辺の小松」は子の日に引く小松で、ここでは玉鬘の幼い二人の子を指している。「岩根」は岩の根もとで、動かぬ堅固なもののたとえであり、育ての親である源氏を指す。子の日の小松引きと若菜摘みという正月の行事をそのまま歌の景に取り込み、小松の生い先と岩根の不動とを重ねて四十の賀を寿いでいる。養父への感謝が儀礼の型の中にきちんと収まった、源氏物語の賀歌の一例である。

若葉さす:若葉が芽を出す。
小松:子の日に引く小さな松。ここでは玉鬘の幼子。
岩根:岩の根もと。堅固で動かぬもの。ここでは源氏。
子の日:正月最初の子の日。小松を引き若菜を摘む行事。
四十の賀:四十歳を祝う長寿の祝い。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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