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小松原末のよはひに引かれてや
野辺の若菜も年をつむべき

歌の意味
小松原の行く先長い齢に引かれてか、野辺の若菜であるこの身も年を積み重ねていくのだろう。
鑑賞
第二部 若菜上

 玉鬘の「若葉さす」の歌を受けて、光源氏が返したのがこの歌である。献じられた若菜と、引き連れられてきた幼い子たちとを一続きの景として受け取り、その生命力にあやかって自分も年を重ねようと述べている。祝われる側が祝う側の言葉を受け止める、四十の賀にふさわしい返しである。この後、宴は夜まで及び、柏木が和琴の名手として姿を見せる。物語の後半を動かす人物が、この賀の席でさりげなく差し出される。

 「小松原」は相手の歌の「小松」を受けた語で、玉鬘の子たちを指す。「末のよはひ」はこれから先の長い年齢のことである。「つむ」は若菜を摘む意と年を積む意とを掛けており、献じられた若菜がそのまま長寿の予祝に転じる仕掛けになっている。相手の語を確かに引き継ぎながら掛詞一つで意味を折り返す手際は、源氏の歌の中でも整ったものである。若菜上の巻名の由来となった、この巻を代表する一首である。

小松原:小松の生えた原。ここでは玉鬘の子たち。
末のよはひ:これから先の長い年齢。
引かる:引き寄せられる。あやかる。
つむ:若菜を「摘む」と年を「積む」を掛ける。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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