背きにしこの世に残る心こそ
入る山路のほだしなりけれ
- 歌の意味
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捨て去ったこの世に残る子を思う心こそが、山へ入る道の足かせであったのだ。
- 鑑賞
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第二部 若菜上
朱雀院は出家して山の御寺に籠るが、六条院に降嫁した女三の宮のことがどうしても心から離れない。宮はまだ年若く、源氏の正妻としての振る舞いも心もとない。そこで院は、六条院で長く女君たちを取りしきってきた紫の上に文を送り、宮の後見をあらためて頼み入れる。この歌はその文に添えられたものである。紫の上は院の立場を思いながら返しを詠み、以後、実際に女三の宮の世話を引き受けていくことになる。
「背きにしこの世」は捨て去った俗世のことで、「この」に「子」を掛け、我が子への思いを含ませている。「ほだし」は馬などをつなぎとめる足かせのことで、仏道に専念しようとする身を引き止めるもののたとえである。山路に入る足を自分の親心が縛るという言い方で、出家しきれない苦しさを述べている。娘を託す相手が正妻の座を譲った紫の上であるという構図が、この贈答をいっそう複雑なものにしている。
背く:そむく、捨て去る。
この世:俗世。「子」を掛ける。
ほだし:馬をつなぐ縄。足かせ。妨げとなるもの。
入る山路:仏道に入るための山の道。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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