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年月をなかに隔てて逢坂の
さも塞きがたく落つる涙か

歌の意味
長い年月を間に隔てて、ようやく逢坂の関に来たというのに、これほど塞き止めがたく落ちる涙であることか。
鑑賞
第二部 若菜上

 朱雀院の出家により御所は人少なになり、かつて院に寵愛された朧月夜も実家であった旧右大臣邸へ戻っていた。それを聞いた源氏は、須磨
明石へ退くきっかけとなった昔の恋を思い出し、逢いたいと使いを送る。朧月夜は頑なに拒み、対面はしても隔ての障子を動かさない。この歌はその隔てを前にして源氏が詠んだものである。朧月夜は返しを詠んで退けようとするが、源氏は隔てを押し開けて逢瀬を遂げてしまう。

 「年月をなかに隔てて」は十五年に及ぶ空白をいう。「逢坂」は近江の歌枕で、「逢ふ」を掛けるとともに、「関」を導いて「塞き」に続いていく。「さも」はそれほどにもの意である。関の清水という古歌以来の景に、隔てられて流れる涙を重ねる構成で、逢坂

塞く
涙という縁語を一首に通している。技巧のうえに再会の感情を乗せた、源氏の歌としても手数の多い一首である。

年月をなかに隔てて:長い年月を間にはさんで。
逢坂:近江の歌枕。「逢ふ」を掛ける。
さも:それほどにも。
塞く:せきとめる。「関」の縁語。
隔ての障子:人と人の間を仕切る建具。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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