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光出でむ暁近くなりにけり
今ぞ見し世の夢語りする

歌の意味
光がさし出る暁が近くなった。今こそ、昔見た夢の話をするのである。
鑑賞
第二部 若菜上

 翌年三月、明石の女御は東宮の男御子を出産する。明石一族にとってこれ以上ない栄えであり、都の人々の祝いが絶えない。そのころ、明石の浦にとどまっていた入道から消息の文が届く。文には、かつて娘が生まれる前に見た予言の夢のことが記され、それが今まさに現れたことを喜ぶ言葉が連ねられていた。この歌はその文に添えられたものである。入道はこの文を最後に山深く入り、以後その消息は語られない。明石の君はこれを読んで涙を流す。

 「光出でむ暁」は日の出る夜明けのことで、生まれた御子が帝位につく未来を暗示している。「見し世の夢」は昔見た夢のことで、入道が長年秘してきた予言の夢を指す。「今ぞ」は、今こそという強い限定で、語るべき時が来たという確信を表す。一族の栄華を天体の運行として述べ、自らはその暁を見ずに山へ入るという構図であり、明石一族の物語を締めくくる位置に置かれた重い一首である。

光出でむ:日がさし出るであろう。
暁:夜明け前の、明るくなりはじめるころ。
見し世の夢:昔見た夢。入道が秘してきた予言の夢。
夢語り:夢の内容を人に語ること。
入道:出家して仏道に入った人。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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