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住の江の松に夜深く置く霜は
神の掛けたる木綿鬘かも

歌の意味
住の江の松に夜深く置いた霜は、神がお掛けになった木綿鬘なのだろうか。
鑑賞
第二部 若菜下

 明け方、住吉の松に霜が白く置き、あたりは神々しい景色となった。明石尼君の述懐に続いて、この霜を題として女君たちが次々に歌を詠み交わす。まず紫の上が詠んだのがこの歌で、松を覆う霜を神が掛けた木綿鬘と見立て、この参詣が神に受け入れられたしるしだと言祝いでいる。続いて明石の女御、女房の中務の君が同じ景を詠み、三首の唱和となる。住吉参詣の場面はこの唱和をもって明るく締めくくられ、物語は六条院の日常へ戻っていく。

 「夜深く」は夜がまだ深いうちにということである。「木綿鬘」は楮の繊維で作った白い鬘で、神事の際に頭や榊に掛ける。白い霜を白い木綿鬘に見立てる趣向が一首の眼目であり、自然の景をそのまま神の意志のあらわれとして受け取っている。「かも」は詠嘆を含む疑問の言い方で、断定を避けることでかえって神威への畏れが伝わる。祝いの場にふさわしい、格の高い叙景歌である。

住の江:住吉の海辺の呼び名。
夜深く:夜がまだ深いうちに。
木綿:楮の皮の繊維で作った白い布。神事に用いる。
木綿鬘:木綿で作り、頭や榊に掛ける飾り。
かも:~であろうか。詠嘆を含む疑問。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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