わが身こそあらぬさまなれそれながら
そらおぼれする君は君なり
- 歌の意味
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私の身こそ変わり果てた姿になってしまったが、それでいて知らぬふりをするあなたは、昔のままのあなただ。
- 鑑賞
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第二部 若菜下
二条院で臥していた紫の上の容体が急変し、ついに息が絶える。屋敷は上を下への騒ぎとなり、都には死去の噂まで広まった。源氏はこれを物の怪の仕業と見て、加持を絶やさず続けさせる。すると物の怪は憑坐に移って正体を現し、かつての六条御息所であると名乗った。物の怪は、源氏が紫の上に自分のことを悪しざまに語ったのを恨んでいると訴える。この歌はその折に詠まれたものである。祈祷の効あって紫の上は蘇生し、以後、源氏は五戒を受けさせるなど手を尽くして看護にあたる。
「あらぬさま」は元とは違う姿、変わり果てた姿のことで、死霊となった自分の身を指す。「それながら」はそれでいてということである。「そらおぼれする」は知っていながら知らないふりをすることで、源氏の態度を突いた語である。「君は君なり」は、あなたは昔のままのあなただという断定で、変わった自分と変わらぬ相手とを対比させている。生前から続く執着が言葉づかいにまで残っており、源氏物語の物の怪の場面の中でも際立って生々しい一首である。
あらぬさま:元とは違う姿。変わり果てたさま。
それながら:それでいて。そうでありながら。
そらおぼる:知っていながら知らないふりをする。
物の怪:人にとりついて祟りをなす死霊や生霊。
憑坐:物の怪を移し憑かせるための童など。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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