消え止まるほどやは経べきたまさかに
蓮の露のかかるばかりを
- 歌の意味
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消えずにとどまっている間さえ、どれほどもあるまい。たまたま蓮の露がこのようにかかっているだけの命なのだから。
- 鑑賞
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第二部 若菜下
紫の上は蘇生したものの、その後も本復には至らない。五月を過ぎ、以前よりは少しよい様子になったころ、二条院の池には蓮の花が咲きわたり、青々とした葉の上に露が玉のように光っていた。源氏はその景を見せようと紫の上を起こし、久しぶりに二人で庭を眺める。この歌はその折に紫の上が詠んだもので、源氏はすぐに返しを詠む。しかし紫の上の出家の願いは容れられず、以後も病は長く尾を引くことになる。
「消え止まる」は消えずにとどまることで、露が消えずに残っているさまをいい、そのまま自分の命に重ねている。「ほどやは経べき」は、どれほどの間を過ごせようかという反語である。「たまさかに」はたまたま、偶然にの意で、「たま」に露の「玉」と「魂」とを響かせる。「蓮の露」は蓮の葉の上に置く露で、仏教で説く極楽の蓮とも結びつく語である。目の前の景をそのまま自らの命の比喩とする詠みぶりで、病後の紫の上の心境がよく表れている。
消え止まる:消えずにとどまる。
ほどやは経べき:どれほどの間を過ごせようか。反語。
たまさかに:たまたま、偶然に。「玉」「魂」を響かせる。
蓮の露:蓮の葉に置く露。
本復:病気が完全に治ること。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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