時しあれば変はらぬ色に匂ひけり
片枝枯れにし宿の桜も
- 歌の意味
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時が巡ってくれば、変わらぬ色に美しく咲くものだ。片方の枝が枯れてしまったこの邸の桜も。
- 鑑賞
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第二部 柏木
柏木の死後、夕霧は生前に託された遺言を口実として、たびたび一条宮を訪れるようになる。この邸には柏木の妻であった落葉の宮と、その母の一条御息所が住んでいた。夕霧はまず御息所と対面し、亡き友を偲んで語り合う。庭の桜が例年と変わらず咲いているのを見て詠んだのがこの歌である。御息所は返しを詠み、以後、夕霧の弔問は重ねられて、やがて落葉の宮その人への思いへと移っていく。
「時しあれば」は時節が巡ってくればということである。「変はらぬ色に匂ひけり」は例年どおり美しく咲いたということで、人の身の上と草木の営みとを対比させている。「片枝枯れにし」は片方の枝が枯れてしまったということで、夫を失った落葉の宮の身の上をたとえている。桜という一本の木に、変わらぬものと欠けたものとを同時に見る構成であり、弔問の挨拶としての節度を保ちながら、残された人を励ます形になっている。
時しあれば:時節が巡ってくれば。
匂ふ:美しく色づく、照り映える。
片枝:片方の枝。
一条宮:落葉の宮と母御息所の住む邸。
一条御息所:落葉の宮の母。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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