恨めしや霞の衣誰れ着よと
春よりさきに花の散りけむ
- 歌の意味
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恨めしいことだ。霞のような喪服を誰に着よといって、春より先に花は散ってしまったのだろう。
- 鑑賞
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第二部 柏木
致仕の大殿と夕霧の唱和に続いて、柏木の弟である弁の君が詠んだのがこの歌である。兄を失った弟の立場から、なぜこの人が先に逝ってしまったのかという納得のいかなさを、恨めしいという一語に込めている。三首はいずれも霞の衣を共有しており、父
友
弟という三つの立場から同じ死を悼む形になっている。この唱和をもって柏木への哀悼はひとまず結ばれ、物語は四月、夕霧のふたたびの一条宮訪問へと進む。
「恨めしや」は恨めしいことだという嘆きの言い方である。「霞の衣」は前の二首から受け継がれた語で、喪服を指す。「春よりさきに」は春が終わるより前にということで、盛りを待たずに散ったことをいう。「花の散りけむ」は花が散ってしまったのだろうということで、若くして世を去った柏木をたとえている。同じ語を三首で繰り返しながら、悼む
受け止める
問うと段階を踏んでおり、唱和歌としてよく組み立てられた一組である。
恨めしや:恨めしいことだ。
霞の衣:霞を衣に見立てた語。喪服。
春よりさきに:春が終わるより前に。
花の散る:花が散る。若い死のたとえ。
唱和歌:三人以上が題を同じくして詠み交わす歌。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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