おほかたの秋をば憂しと知りにしを
ふり捨てがたき鈴虫の声
- 歌の意味
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だいたい秋というものはつらいと知ってしまったけれど、振り捨てがたいのは鈴虫の声だ。
- 鑑賞
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第二部 鈴虫
秋になり、源氏は女三の宮の御殿の前庭を野の風情に作りかえ、鈴虫をはじめとする秋の虫を多く放った。虫の音を聞くという名目で源氏はたびたび宮のもとを訪れ、なお思いの絶えないことを口にする。宮はそれを迷惑に思いながら、はっきり言い出すこともできない。八月十五夜の夕暮、源氏は宮とともに経を読み、虫の声に耳を澄ます。源氏が松虫より鈴虫がよいと言うのを受けて、宮が詠んだのがこの歌である。源氏はすぐに返しを詠み、そのまま久しぶりに琴を弾き始める。
「おほかたの秋」は秋という季節一般のことで、「秋」に「飽き」を掛け、源氏に飽きられたという思いを含ませている。「憂し」はつらい、いとわしいという意である。「ふり捨てがたき」は振り捨てることができないということで、「ふり」に鈴を振る意を掛け、「鈴虫」の縁語をなしている。世を捨てた身でありながら鈴虫の声だけは捨てがたいと述べる形で、出家後もなお断ちきれないものがあることを示しており、この巻の巻名の由来ともなった一首である。
おほかた:だいたい、総じて。
秋:季節の秋に「飽き」を掛ける。
憂し:つらい、いとわしい。
ふり捨つ:振り捨てる。鈴を「振る」を掛ける。
鈴虫:秋に鳴く虫。今日の松虫にあたるという説もある。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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