山里のあはれを添ふる夕霧に
立ち出でむ空もなき心地して
- 歌の意味
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山里のしみじみとした風情をいっそう添える夕霧のせいで、立ち出て帰っていく気持ちにもなれない。
- 鑑賞
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第二部 夕霧
柏木の未亡人である落葉の宮は、母の一条御息所が物の怪に悩まされて病がちになったため、加持を受けようと比叡山のふもとの小野の山荘へ移っていた。柏木の遺言を口実に後見を装いながら、宮への思いを募らせてきた夕霧は、八月二十日ごろ、御息所の見舞いにかこつけて小野を訪れる。日が傾くころ、あたりには霧が立ちこめ、ひぐらしが鳴きしきる。夕霧は帰りがたいと言い立てて、この歌を宮に詠みかけた。宮はすぐに返しを詠むが、夕霧はそのまま山荘に泊まる決意を固める。
「山里」は都を離れた山あいの里で、ここでは小野の山荘を指す。「あはれ」はしみじみとした情趣のことである。「夕霧」は夕方に立つ霧であるとともに、詠み手自身の呼び名でもあり、自分がこの場に居続けることを言外に含ませている。「立ち出でむ空もなき」は出て行く気持ちになれないということで、「立つ」は霧の縁語である。第三十九帖の巻名「夕霧」は、この歌の語に由来する。景に託して長居を申し出る、周到な詠みぶりである。
山里:都を離れた山あいの里。
あはれ:しみじみとした情趣。
夕霧:夕方に立つ霧。詠み手の呼び名でもある。
立ち出づ:出て行く。「霧」の縁語。
小野:比叡山のふもとの地。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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