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女郎花萎るる野辺をいづことて
一夜ばかりの宿を借りけむ

歌の意味
女郎花のしおれている野辺を、どういうお心から、一夜だけの宿としてお借りになったのだろう。
鑑賞
第二部 夕霧

 夕霧の朝帰りを祈祷の律師から聞かされ、一条御息所は驚き嘆く。娘の身の上を思えば夕霧に後見を託すことも考えられたが、それにしても一夜かぎりで音沙汰がないのはあまりに軽い扱いではないか。御息所は苦しい息の下で自ら筆を執り、夕霧に宛ててこの歌を書き送る。ところが書き終えた直後に容体は急変してしまう。しかもこの文は夕霧のもとへ届いたところを北の方の雲居雁に奪い取られ、隠されてしまった。

 「女郎花」は秋の七草の一つで、しなやかな女性のたとえに用いられ、ここでは落葉の宮を指す。「萎るる」はしおれることで、夫を失って弱っている宮のさまを表す。「いづことて」はどういう所と思っての意で、軽々しく扱われたことへの詰問である。「一夜ばかりの宿」は一晩だけの仮の宿りで、通ってこないことを責めている。娘を思う母の必死の問いかけが、野辺の花という抑えた景に託されており、この巻でも屈指の重い一首である。

女郎花:秋の七草の一つ。女性のたとえ。
萎る:しおれる、弱る。
いづことて:どういう所と思って。
一夜ばかりの宿:一晩だけの仮の宿り。
北の方:正妻。ここでは雲居雁。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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