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あはれをもいかに知りてか慰めむ
あるや恋しき亡きや悲しき

歌の意味
あなたの悲しみを、何によるものと知って慰めればよいのか。生きている人が恋しいのか、亡くなった人が悲しいのか。
鑑賞
第二部 夕霧

 一条御息所が世を去り、夕霧は葬儀や法事の手配に奔走して、簡素になるはずだった式を盛大なものに変えていく。落葉の宮からは返事も得られず、夕霧の心はふさぐばかりである。そのふさぎ込んだ様子を見ていた雲居雁が、夫の心の内を問い質すように詠みかけたのがこの歌である。夕霧は言葉を濁して返し、二人の間の溝はさらに深まっていく。

 「あはれ」はここでは悲しみ、心の痛みのことである。「いかに知りてか」はどういう事情と知ってという意である。「あるや恋しき」は生きているほうの人が恋しいのかということで、落葉の宮を指す。「亡きや悲しき」は亡くなったほうの人が悲しいのかということで、一条御息所を指す。二つの可能性を並べて相手に選ばせる形をとりながら、実際にはどちらであっても許しがたいという皮肉になっており、雲居雁の歌の中でも痛烈な一首である。

あはれ:悲しみ、心の痛み。
いかに知りてか:どういう事情と知って。
ある:生きている人。ここでは落葉の宮。
亡き:亡くなった人。ここでは一条御息所。
法事:死者の供養のための仏事。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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