里遠み小野の篠原わけて来て
我も鹿こそ声も惜しまね
- 歌の意味
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人里が遠いので小野の篠原を分けて来て、私もまた鹿のように、声を惜しまず泣いている。
- 鑑賞
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第二部 夕霧
九月十日過ぎ、野山の景色がひときわ深まるころ、夕霧はふたたび小野の山荘を訪れる。母を失った落葉の宮は喪に服したまま人に会おうとせず、夕霧は取り次ぎを頼むほかない。板ばさみになった女房の小少将の君は、涙にくれながら双方の言葉を運ぶ。この歌はその折、夕霧が小少将の君に向けて詠んだものである。小少将の君は返しを詠み、夕霧はなお宮の返事を得られぬまま帰路につく。
「里遠み」は人里が遠いのでという意である。「小野の篠原」は小野の細竹の生い茂る原のことで、山荘のあたりの景を示している。「わけて来て」は草を分けて訪ねて来てということである。「我も鹿こそ」は自分も鹿と同じようにということで、「鹿」に「然」を掛ける読みもある。秋の野に鳴く鹿の声に自分の泣き声を重ねる古歌以来の趣向を用い、喪の家を訪れる者としての節度を保ちながら思いを述べている。
里遠み:人里が遠いので。
篠原:細い竹の生い茂る原。
わけて来:草を分けて訪ねて来る。
声も惜しまず:声を惜しまずに泣く。
小少将の君:落葉の宮に仕えた女房。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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