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朝夕に泣く音を立つる小野山は
絶えぬ涙や音無の滝

歌の意味
朝も夕も声を立てて泣いているこの小野山では、絶えることのない涙が音無の滝となるのだろうか。
鑑賞
第二部 夕霧

 母を失った落葉の宮は、小野の山荘に残されたまま、人にも会わず泣き暮らしていた。夕霧からは絶えず文が届くが、返事を書く気にはなれない。手すさびに書きつけた手習の中に、この歌があった。宮は自ら出家することも望むが、父の朱雀院はそれを許さず諌める。やがて夕霧の手配によって、宮は意に染まぬまま一条宮へ連れ戻されることになる。

 「泣く音を立つる」は声を立てて泣くことである。「小野山」は小野のあたりの山で、実際の地名を用いつつ、自分の泣き声が響く場として置かれている。「音無の滝」は音を立てずに流れる滝で、山城の歌枕として知られる。「絶えぬ涙」は尽きることのない涙のことである。声を立てて泣いているのに、その涙は音無の滝になるという構成で、外に出せぬ悲しみのありようを言い表しており、手習の歌らしい飾らない痛切さがある。

泣く音を立つ:声を立てて泣く。
小野山:小野のあたりの山。
音無の滝:音を立てずに流れる滝。山城の歌枕。
絶えぬ:尽きることのない。
手習:思うままに紙に書きつけること。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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