のぼりにし峰の煙にたちまじり
思はぬ方になびかずもがな
- 歌の意味
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空へ昇っていったあの峰の煙に立ちまじって、思ってもいない方角へなびかずにいたいものだ。
- 鑑賞
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第二部 夕霧
小野の山荘で手習を続ける落葉の宮は、母を荼毘に付した峰の煙を思い返す。母のもとへ行きたいという願いと、夕霧の意のままになりたくないという思いとが重なって、この歌が書きつけられた。しかし宮の願いはどれも叶わない。父の朱雀院は出家を諌め、夕霧は一条宮への帰邸を強引に進める。宮は集まって説得する人々に抗しきれず、あざやかな衣に着替えさせられて山荘を出ることになる。
「のぼりにし峰の煙」は火葬の煙が峰の空へ昇っていったことをいい、亡き母を指す。「たちまじり」は立ちまじってということで、「立つ」は煙の縁語である。「思はぬ方」は思ってもいない方角のことで、夕霧のほうへ心を向けることをたとえている。「なびかずもがな」はなびかずにいたいという願望である。煙という一つの景に、母を慕う心と男に従うまいとする意志とを同時に負わせており、追い詰められた宮の心境がよく表れた一首である。
のぼる:空へ昇る。
峰の煙:火葬の煙。
たちまじる:立ちまじる。「立つ」は煙の縁語。
思はぬ方:思ってもいない方角。
なびく:従う、心を寄せる。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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