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怨みわび胸あきがたき冬の夜に
また鎖しまさる関の岩門

歌の意味
恨みかねて胸の晴れようもない冬の夜に、いっそう固く鎖される関の岩門であることよ。
鑑賞
第二部 夕霧

 一条宮に連れ戻された落葉の宮は、塗籠に籠ったまま出てこようとしない。夕霧は日を重ねて言葉を尽くすが、宮はかたくなに戸を閉ざし続ける。この歌はその冬の夜、閉ざされた戸を隔てたまま夕霧が詠みかけたものである。宮の拒絶は変わらず、夕霧はついに塗籠へ押し入ってしまう。翌日もそのまま一条宮に居続けたため、世間の目には二人の結婚が成立したように映ることになった。

 「怨みわび」は恨みかねて、恨みきれずにという意である。「胸あきがたき」は胸のふさがりが晴れないことで、「あく」は開くと晴れるとを兼ね、戸が開かないことと重ねられている。「鎖しまさる」はいっそう固く閉ざされることである。「関の岩門」は関所の堅固な門のことで、開かない塗籠の戸をたとえている。胸と戸という二つの閉ざされたものを一語で結ぶ構成であり、恨みを述べながらも相手を追い詰める力を失っていない一首である。

怨みわぶ:恨みかねる、恨みきれない。
胸あく:胸のふさがりが晴れる。「開く」を兼ねる。
鎖す:錠をかける、閉ざす。
関の岩門:関所の堅固な門。
塗籠:土壁で囲まれた納戸のような部屋。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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