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おくと見るほどぞはかなきともすれば
風に乱るる萩のうは露

歌の意味
露が置いていると見えるのもわずかの間のことだ。ややもすれば風に乱れて散ってしまう、萩の上の露なのだから。
鑑賞
第二部 御法

 夏を過ぎて紫の上の容体はいよいよ重くなり、養母である紫の上を見舞うため、明石の中宮が宮中から二条院へ里下がりしてくる。風の強い秋の夕暮、紫の上は少し気分がよいのか脇息に寄りかかって庭を眺めていた。起き上がった姿を見ただけで大喜びする源氏を前に、紫の上は自分が世を去った後のことを思って胸をつかれる。この歌はその折に詠まれたものである。源氏と明石の中宮が続けて詠み、三人の唱和となる。その直後に容体は崩れ、紫の上は明け方に息を引き取った。

 「おく」は露が置くことで、「起く」を掛け、起き上がっている自分の身をも指している。「はかなき」はわずかな間で消えてしまうさまである。「ともすれば」はややもすると、少しのことでという意である。「萩のうは露」は萩の葉の上に置いた露のことで、自らの命のたとえである。庭の景をそのまま自分の身に重ね、風に乱れる露という一つの像で命の終わりを言い表しており、源氏物語の中でも最も知られた辞世の歌の一つである。

おく:露が置く。「起く」を掛ける。
はかなし:わずかな間で消えてしまう。
ともすれば:ややもすると、少しのことで。
うは露:葉の上に置いた露。
脇息:座って寄りかかるための肘掛け。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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