ややもせば消えをあらそふ露の世に
後れ先だつほど経ずもがな
- 歌の意味
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ややもすれば先を争って消えていく露のようなこの世で、後れたり先立ったりする間を置かずにいたいものだ。
- 鑑賞
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第二部 御法
紫の上の「おくと見る」の歌を受けて、源氏が詠んだのがこの歌である。露のようにはかない世であるならば、せめて後れたり先立ったりせず一緒に消えたいと述べ、迫りくる別れを前にした心境をそのまま言い表している。源氏はこの後、紫の上の死に際して一切そばを離れようとせず、葬儀の一切は夕霧が取り仕切ることになった。この唱和は、源氏と紫の上が言葉を交わす最後の場面となる。
「ややもせば」はややもすればという意で、相手の歌の「ともすれば」を受けた語である。「消えをあらそふ」は先を争って消えていくことで、露が次々に消えるさまをいう。「露の世」は露のようにはかないこの世である。「後れ先だつ」は死に後れることと先立つことをいう。「ほど経ずもがな」はその間を置かずにいたいという願望である。相手の露をそのまま受け継ぎながら、二人一緒にという願いへ転じる構成であり、返歌としての作法を守りつつ切実さがこもっている。
ややもせば:ややもすれば、どうかすると。
消えをあらそふ:先を争って消える。
露の世:露のようにはかないこの世。
後れ先だつ:死に後れることと先立つこと。
もがな:~であってほしい。願望。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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