わが宿は花もてはやす人もなし
何にか春のたづね来つらむ
- 歌の意味
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私の家には花を喜んでくれる人もいない。それなのに、どうして春は訪ねてきたのだろう。
- 鑑賞
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第二部 幻
紫の上を失った翌年、六条院に新しい年が来る。源氏は人にも会わず、法事のほかは何もせずに日を送っていた。正月、弟の蛍兵部卿宮が年始の挨拶に訪れる。世の中はいつもどおり春を迎えているのに、この邸だけは主を失ったままである。庭の紅梅が咲きかけているのを見て、源氏がまず詠みかけたのがこの歌である。宮はすぐに返しを詠み、兄弟は昔語りをして涙にくれる。以後、源氏の一年はほとんど紫の上を偲ぶことに費やされていく。
「わが宿」は自分の住まいのことで、二条院あるいは六条院の春の御殿を指す。「花もてはやす人」は花を愛でて喜ぶ人のことで、紫の上を指している。「何にか」は何のためにという意である。「春のたづね来つらむ」は春が訪ねてきたのだろうということで、「春」には目の前の兵部卿宮をも重ねている。季節はめぐるが人は帰らないという対比を、挨拶の歌の形に収めた一首であり、この巻全体の調子をあらかじめ示している。
わが宿:自分の住まい。
もてはやす:愛でて大切にする。
何にか:何のために、どうして。
たづね来:訪れて来る。
蛍兵部卿宮:源氏の異母弟。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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