香をとめて来つるかひなくおほかたの
花のたよりと言ひやなすべき
- 歌の意味
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香りを求めて訪ねてきた甲斐もなく、ありふれた花見のついでに来たと言われてしまうのだろうか。
- 鑑賞
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第二部 幻
源氏の「わが宿は」の歌を受けて、蛍兵部卿宮が返したのがこの歌である。梅の香を訪ねてきたのではなく、あなたに会うために来たのだと述べ、花のついでと言われては心外だと応じている。この人は源氏の異母弟で、若いころは玉鬘に思いを寄せた風雅な宮であり、兄との気やすい間柄がこの応酬にもうかがえる。兄弟は日が暮れるまで昔のことを語り合い、庭の梅を眺めて涙をこぼした。
「香をとめて」は香りを求めてということで、「香」は源氏そのひとを暗に指している。「来つるかひなく」は訪ねてきた甲斐もなくの意である。「おほかたの花のたより」はありふれた花見のついでのことである。「言ひやなすべき」は言いなしてしまうのだろうかという意である。相手の歌の「花」「春」を受け取りつつ、自分が訪れた目的は花ではないと切り返す構成であり、弔問と年始の挨拶とを兼ねた場にふさわしい、心のこもった返しになっている。
香をとむ:香りを求める。
かひなく:甲斐もなく。
おほかた:ありふれた、普通の。
花のたより:花見のついで。
言ひなす:そのように言い表す。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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