今はとて荒らしや果てむ亡き人の
心とどめし春の垣根を
- 歌の意味
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いよいよこれが最後だと出家してしまえば、すっかり荒れ果てさせてしまうのだろうか。亡き人が心を寄せていた春の庭の垣根を。
- 鑑賞
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第二部 幻
出家の志を固めた源氏は、身のまわりの品を整理し、仕える者たちの行く末を考えはじめる。しかしその一方で、紫の上が心を込めて作らせた春の御殿の庭が、自分が去った後には荒れるにまかせられることになると気づく。この歌はその折の独詠である。源氏はこうしてためらいを重ね、結局この一年のうちには出家に踏み切れないまま日を送っていく。出家の願いと現世への未練とがせめぎ合う姿が、この巻を通して繰り返し描かれる。
「今はとて」はいよいよこれが最後だという意で、出家することを指している。「荒らしや果てむ」はすっかり荒れ果てさせてしまうのだろうかという疑問である。「亡き人」は紫の上を指す。「心とどめし」は心を寄せていた、愛着していたという意である。「春の垣根」は春の御殿の庭の垣根で、紫の上が営んだ庭を代表させている。自分の決断が故人の遺したものを損なうという逆説を述べており、出家を思いとどまる理由がここに置かれている。
今はとて:いよいよこれが最後だと。
荒らし果つ:すっかり荒れ果てさせる。
心とどむ:心を寄せる、愛着する。
垣根:庭を囲う垣。
春の御殿:六条院の紫の上の住まい。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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