羽衣の薄きに変はる今日よりは
空蝉の世ぞいとど悲しき
- 歌の意味
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羽衣のように薄い衣に変わる今日からは、蝉の抜け殻のようなこの世が、いっそう悲しく感じられる。
- 鑑賞
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第二部 幻
花散里の「夏衣」の歌を受けて、源氏が返したのがこの歌である。薄い夏衣に着替えた今日から、いよいよこの世のはかなさが身にしみるようだと述べ、追憶を促した相手の心づかいに応じている。源氏はこの年、季節の行事のたびに紫の上の不在を思い知らされ、そのことを歌に留めていく。花散里との贈答は、そうした一年の中で交わされた数少ない穏やかなやり取りである。
「羽衣」は天人の着る薄い衣のことで、夏衣の薄さをたとえている。「薄きに変はる」は薄い衣に着替えるということで、相手の歌の「裁ち替へ」を受けた語である。「空蝉の世」は蝉の抜け殻のようなはかない世のことで、「うつせみの」は「世」にかかる枕詞でもある。「薄き」「空蝉」はいずれも「羽衣」の縁語をなしている。薄い衣という一つの手がかりから、無常という主題へ言葉を運ぶ構成であり、贈答の作法をよく守った返しである。
羽衣:天人の着る薄い衣。
薄き:薄い。「羽衣」の縁語。
空蝉:蝉の抜け殻。はかないもののたとえ。
うつせみの:「世」にかかる枕詞。
いとど:いっそう、ますます。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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