夜を知る蛍を見ても悲しきは
時ぞともなき思ひなりけり
- 歌の意味
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夜が来たことを知って光る蛍を見ても悲しいのは、時を選ばず燃え続けるこの思いなのであった。
- 鑑賞
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第二部 幻
夏の夜、庭に蛍が飛ぶのを見て源氏が詠んだ独詠歌である。蛍は夜になれば光り、時が来れば消えるが、自分の胸の思いは昼夜を問わず燃え続けている。かつて蛍の巻では、蛍の光によって玉鬘の姿を蛍兵部卿宮に見せるという趣向があったが、同じ蛍がここでは亡き人を思う心の火として詠まれている。物語の初めから終わりまで同じ景物が繰り返し用いられ、その意味を変えていくことに、この巻の位置がよく表れている。
「夜を知る蛍」は夜になったことを知って光り出す蛍のことである。「時ぞともなき」は時を定めない、いつということもないという意である。「思ひ」は心に抱く思いで、「ひ」に「火」を掛け、蛍の光と対をなしている。蛍が時を知って光るのに対し、自分の思いの火は時を知らないという対比が一首の骨格であり、掛詞一つで景と心とを結び合わせる手際は源氏の歌の中でも整っている。
夜を知る:夜になったことを知る。
時ぞともなき:時を定めない、いつということもない。
思ひ:心に抱く思い。「火」を掛ける。
蛍:夏の夜に光る虫。
蛍の巻:第二十五帖。玉鬘の姿を蛍の光で見せる場面がある。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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