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七夕の逢ふ瀬は雲のよそに見て
別れの庭に露ぞおきそふ

歌の意味
七夕の逢瀬は雲の上のよそごととして眺めるばかりで、私は別れの庭に涙の露を置き添えることだ。
鑑賞
第二部 幻

 七月七日、七夕の節句が巡ってくる。世間では星の逢瀬を祝う日であるが、源氏にとっては二度と逢えぬ別れを思い知らされる日であった。翌朝、露にびっしょり濡れた庭を眺めながら詠んだのがこの独詠歌である。行事のたびに紫の上の不在が際立つという構図は、この巻を通して繰り返される。やがて八月十四日の一周忌が近づき、源氏は仕える者たちと悲しみを分け合うことになる。

 「七夕」は牽牛と織女が年に一度逢うという七月七日の節句である。「逢ふ瀬」は逢う機会のことで、「瀬」は天の川の縁語をなしている。「雲のよそ」は雲の上のよそごと、自分とは無縁のことという意である。「別れの庭」は別れを思う庭のことである。「露ぞおきそふ」は露がさらに置き加わるということで、露は涙をたとえる語であり、「置く」は露の縁語である。年に一度でも逢える星と、二度と逢えぬ自分とを対に置いた、痛切な一首である。

七夕:七月七日の節句。牽牛と織女が逢うとされる。
逢ふ瀬:逢う機会。「瀬」は天の川の縁語。
雲のよそ:雲の上のよそごと。無縁のこと。
おきそふ:置き加わる。「露」の縁語。
一周忌:死後一年目の法要。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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