もろともにおきゐし菊の白露も
一人袂にかかる秋かな
- 歌の意味
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以前は二人一緒に起きて置いた菊の白露も、今年はひとりの袂にかかる秋であることよ。
- 鑑賞
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第二部 幻
九月九日、重陽の節句が巡ってくる。この日には、前夜に菊の花を真綿でおおって香と露を移し、朝その綿で身をぬぐって長寿を願う風習があった。かつては紫の上とともに夜を起きて綿を置き、朝を待ったものである。今年はひとりでそれを行うことになった源氏が詠んだのがこの独詠歌である。季節の行事が来るたびに紫の上の不在を思い知らされる構図は、この巻を通して繰り返され、次の月には有名な幻の歌が詠まれることになる。
「もろともに」は二人一緒にという意である。「おきゐし」は起きて夜を過ごしたということで、「おき」に露が「置く」を掛け、菊にきせ綿を置く行為をも重ねている。「菊の白露」は菊の花に置いた白い露で、重陽の節句の景物である。「一人袂にかかる」はひとりの袂にかかるということで、露は涙をたとえる語である。二人であったことと一人になったことを一つの露で言い分ける構成であり、行事の細部がそのまま歌の骨格となっている。
もろともに:二人一緒に。
おきゐる:起きて夜を過ごす。「置く」を掛ける。
菊の白露:菊に置いた白い露。
袂:袖の下部の袋状の部分。
重陽:九月九日の節句。菊で長寿を願う。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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