死出の山越えにし人を慕ふとて
跡を見つつもなほ惑ふかな
- 歌の意味
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死出の山を越えて行ってしまった人を慕おうとして、その筆跡を見ながらも、やはり迷い乱れることだ。
- 鑑賞
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第二部 幻
十二月、出家の支度として、源氏はこれまでに受け取った手紙をすべて処分しはじめる。その中に、須磨に流離していたころ紫の上から届いた文の束があった。当時の紫の上の筆跡と言葉は、今読み返しても生々しく、源氏は涙で目が曇って読み続けることができない。この歌はその折の独詠歌である。この後、源氏は女房たちに命じて手紙を破らせ、火に投じさせる。紫の上に関する物のかたづけは、これをもってひとまず終わる。
「死出の山」は死者が越えて行くという山のことである。「越えにし人」はそれを越えて行った人、すなわち紫の上を指す。「慕ふとて」は慕おうとしてという意である。「跡」は筆跡のことで、ここでは残された手紙を指す。「なほ惑ふ」はやはり迷い乱れるということである。故人を慕う手立てとして遺品を見たのに、かえって心が乱れるという逆説を述べており、遺品整理という具体的な行為から離れずに書かれている点が読みどころである。
死出の山:死者が越えて行くとされる山。
越えにし人:亡くなった人。
慕ふ:恋しく思い、後を追う。
跡:筆跡。ここでは手紙。
惑ふ:迷い乱れる。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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