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かきつめて見るもかひなし藻塩草
同じ雲居の煙とをなれ

歌の意味
かき集めて見てもどうにもならない、この藻塩草のような手紙は、あの人と同じ空に昇る煙となってしまえ。
鑑賞
第二部 幻

 紫の上の手紙を読み返して涙に暮れた源氏は、ついにそれらを女房たちに破らせ、火に投じさせる。手紙は煙となって空に昇っていった。この歌はその折の独詠歌である。手もとに残しておけば人目に触れる恐れもあり、また自分の心も乱れ続ける。すべてを煙に変えることで、源氏は現世との結びつきを一つずつ断っていく。この後は仏名会を残すのみとなり、物語は年の暮れへ向かう。

 「かきつめて」はかき集めてという意である。「かひなし」はどうにもならない、無駄であるという意である。「藻塩草」は塩を焼くために集める海藻のことで、書き集めた手紙のたとえとして用いられ、「かきつむ」「煙」の縁語をなしている。「同じ雲居」は同じ空のことで、紫の上の荼毘の煙が昇った空を指す。「煙とをなれ」は煙となってしまえという命令である。手紙を焼くという行為を、亡き人のもとへ送り届ける行為へと読み替えた一首である。

かきつむ:かき集める。
かひなし:どうにもならない、無駄である。
藻塩草:塩を焼くために集める海藻。手紙のたとえ。
雲居:空。
仏名会:年末に仏の名を唱えて罪を懺悔する法会。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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