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春までの命も知らず雪のうちに
色づく梅を今日かざしてむ

歌の意味
春まで命があるかも分からないのだから、雪の中で色づいてきた梅を、今日のうちに髪に飾ってしまおう。
鑑賞
第二部 幻

 十二月十九日から三日にわたって仏名会が営まれる。年の終わりに仏の名を唱え、一年の罪を懺悔する法会である。源氏は久しぶりに人前に姿を見せ、その姿は昔よりもいっそう美しく、居合わせた僧たちは涙を抑えられなかった。導師に杯を勧める折、雪の中に色づきかけた紅梅を折らせて詠んだのがこの歌である。導師は返しを詠み、源氏の長寿を祈る。しかしこれが源氏が人前で詠んだ最後の歌となる。

 「春までの命も知らず」は春まで生きているかどうか分からないという意である。「雪のうち」は雪の中ということである。「色づく梅」は色づきはじめた紅梅のことで、次の春を待たずに咲きかかっている花である。「かざしてむ」は挿頭にしてしまおうという意で、「かざし」は髪や冠に挿す飾りをいう。春を待たずに花を挿すという行為が、余命の短さの自覚をそのまま示しており、法会の席にありながら辞世に近い響きを帯びた一首である。

春までの命:春まで生きているかどうか。
雪のうち:雪の中。
色づく:色がつきはじめる。
かざす:髪や冠に挿して飾る。
仏名会:年末に仏の名を唱えて罪を懺悔する法会。
導師:法会を主導する僧。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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