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竹河のはしうち出でしひとふしに
深き心のそこは知りきや

歌の意味
竹河の橋のたもとと、その一節をわずかに歌い出した、そこに込めた深い心の底を知ってくれただろうか。
鑑賞
第三部 竹河

 宴の翌朝、薫から主の藤侍従のもとに文が届いた。昨夜はひどく取り乱してしまったが、皆さまはどうご覧になっただろう、という書き出しで、女方にも見せてほしいという心づもりからか仮名を多めに書いてあり、その端にこの歌が記されていた。藤侍従がこれを寝殿に持って参ると、玉鬘と息子たちがそろって見る。玉鬘は薫の筆跡をたいそう褒め、幼くして源氏に先立たれ母宮のもとで育ったのにこれほどとは、と言って、わが子たちの手の悪さをけなすのであった。

 「竹河」は催馬楽の曲名で、この巻の巻名の由来にもなっている。「はし」には橋と端とが掛けられ、歌詞にある橋のつめと、ほんの端を歌い出したという意とを兼ねる。「竹」と「ふし」、「河」と「深き」「そこ」がそれぞれ縁語をなし、竹の節と川の深みとを一首の中で結び合わせている。昨夜歌った竹河の一節に自分の思いを託していたのだと、はじめて姫君への心をほのめかした歌であり、以後薫は藤侍従の曹司に出入りしては、それらしい素振りを見せるようになる。

竹河:催馬楽の曲名。竹河巻の巻名の由来。
はし:橋。「端」を掛ける。
ひとふし:一節。竹の節にかけていう。
そこ:底。川の縁で用いる。
仮名がち:仮名を多く用いて書くこと。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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