つれなくて過ぐる月日をかぞへつつ
もの恨めしき暮の春かな
- 歌の意味
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冷たいまま過ぎてゆく月日を数えながら、何とも恨めしく思われる春の暮れであることだ。
- 鑑賞
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第三部 竹河
大君の冷泉院への参院が決まり、蔵人少将は言っても甲斐のないことを訴えようと、いつものように藤侍従の曹司を訪ねた。すると藤侍従は薫からの文を見ているところであった。少将がそれと察して奪い取ると、藤侍従はかえって訳ありに見られるのを嫌ってさして隠しもしない。文にははっきりとしたことは書かれず、ただ男女の仲を恨めしげにほのめかしてあり、その端にこの歌があった。少将は、薫はこうもゆったりと体裁よく振る舞えるのに、自分は物笑いになるほど気をもんでいると胸を痛め、ものも言えずに、いつも取り次ぎを頼む中将のおもとの曹司へ向かう。
「つれなくて」は、季節がこちらの感傷にかまわず過ぎてゆくことと、大君が冷淡であることとを重ねている。「もの恨めしき暮の春」も、春が終わるのを惜しむ心と、大君が参院してしまうことへの恨みとを一つに言いなしたものである。恨みごとを正面からは述べず、暮春を惜しむ景色に紛らせているところが、この歌の作りである。蔵人少将がこれを「ねたげ」と評したのは、まさにその抑えた調子に対してであった。源氏物語竹河巻の後半は、この一首から少将の破局へ向かって進んでいく。
つれなし:冷淡である。そしらぬ様子である。
かぞふ:数える。
もの恨めし:何となく恨めしい。
暮の春:春の終わり。晩春。
曹司:邸内に与えられた個室。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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