- 歌の意味
- 気の毒だと思って手をゆるめてほしい。生き死にをあなたに任せる我が身であるのなら。
- 鑑賞
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第三部 竹河
中将のおもとの切り返しを受けて、蔵人少将がさらに詠んだのがこの歌である。この後、二人は泣きみ笑いみ語らって夜を明かす。翌日は卯月一日、少将は大君に惜春の歌を贈ることになる。
「手」「生死」はいずれも碁の縁語で、「手」は碁の打ち手、「生死」は碁石の生き死にを言う。前の歌の「まかする」を受けて「まかする」と重ねており、応酬が碁の言葉で一貫している。手をゆるめてくれというのは、勝負の手加減を求める言い方であると同時に、つれなくするのをやめてほしいという訴えでもある。生き死にを相手に預けるとまで言い切っており、少将の思いつめようがここで極まる。竹河巻の蔵人少将の歌は、以後この調子で死をちらつかせ続けることになる。
あはれ:気の毒だ。しみじみと心を動かされる。
手をゆるす:手加減する。手をゆるめる。
生死:碁石が生きるか死ぬか。転じて人の生き死に。
卯月:陰暦四月。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌