流れてのたのめむなしき竹河に
世はうきものと思ひ知りにき
- 歌の意味
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年月が流れて、頼みに思わせてくれたことも空しくなった竹河に、この世はつらいものだと思い知った。
- 鑑賞
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第三部 竹河
女房の歌を受けて薫が返したのがこの歌である。その物思わしげな様子を女房たちは趣深いと見る。薫は蔵人少将のように身を入れて嘆きはしなかったけれども、人柄がやはり心苦しく見えるのであった。出過ぎたことを言ってしまいそうだと言って立とうとするところへ、冷泉院からこちらへと召し出され、きまり悪く思いながら参上する。院は故六条院の踏歌の翌朝の管弦を懐かしみ、箏を御息所に、琵琶を薫に賜って遊ばれる。薫はそうした折にも取り乱すことなく、思いのかなわぬ嘆きをほのめかすばかりであった。
「流れて」は「竹河」の「河」の縁語で、年月が流れることをも言う。「たのめ」は頼みに思わせること、すなわち玉鬘邸の人々が大君との縁を期待させたことを指す。「竹」に「世」を掛け、竹の節と世の中とを響かせており、竹河の一語をめぐって縁語と掛詞が幾重にも編まれている。相手の「その夜のことは思ひ出づや」を正面から受け、あの夜こそ世のつらさを知った折だったと返した形で、竹河巻の最後の贈答歌にふさわしい重みを持つ。この二首をもって、源氏物語竹河巻の和歌二十四首は締めくくられる。
流る:流れる。年月が過ぎる。
たのめ:頼みに思わせること。期待させること。
むなし:むだである。あてがはずれる。
うし:つらい。いやだ。
御息所:皇子女を生んだ女御
更衣。ここでは大君。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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