うち捨ててつがひ去りにし水鳥の
仮のこの世にたちおくれけむ
- 歌の意味
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私を残して連れ合いが去っていった水鳥のように、はかないこの世に私だけが生き後れてしまったのだろうか。
- 鑑賞
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第三部 橋姫
八の宮は桐壺院の第八皇子で、光源氏の異母弟にあたる。政変に巻き込まれて世に忘れられ、頼りにしていた北の方にも先立たれ、幼い姫君二人を抱えたまま俗聖として暮らしていた。池の水鳥がつがいで離れずにいるのを眺めながらつぶやいたのがこの歌である。これに大君と中の君が続けて詠み、父娘三人の唱和となる。
「つがひ去りにし水鳥」は連れ合いを失った自身の境涯を映す。「仮のこの世」は無常の現世を指すと同時に、「こ」に「子」を響かせて、残された姫君たちのことを言い含めている。宇治十帖の幕開けに置かれた一首であり、以後この巻を貫く、残された者の悲しみという主題を、水鳥という小さな景物から立ち上げている。
うち捨つ:見捨てて去る。
つがひ:連れ合い。夫婦。
仮の世:無常のこの世。
立ち後る:後に残される。先立たれる。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- 前の歌
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流れてのたのめむなしき竹河に 世はうきものと思ひ知りにき
- 次の歌
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いかでかく巣立ちけるぞと思ふにも 憂き水鳥の契りをぞ知る