- 歌の意味
- 山おろしの風に耐えられない木の葉の露よりも、わけもなくもろくこぼれてしまう私の涙であることよ。
- 鑑賞
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第三部 橋姫
薫は八の宮の人柄を慕って三年ほど宇治に通い続けていた。晩秋、宮が山寺にこもって不在の折に訪ねた薫は、明け方の霧の中で姫君たちが琵琶と箏を合奏する姿を垣間見る。その姿に心を動かされ、さらに老女房の弁から自らの出生にかかわる話を聞かされて、抑えきれずにこぼれる涙を詠んだのがこの独詠である。
「山おろし」は山から吹き下ろす風で、宇治の山里の寒々しさを伝える。風に耐えきれず落ちる木の葉の露に自分の涙を並べ、露よりももろいという。「あやなく」はわけもなく、筋道が立たないの意で、理由を説明できない涙であることを示す。出生の秘密という重い主題が、露という繊細な景物を通して静かに導き入れられている。
山おろし:山から吹き下ろす風。
耐ふ:こらえる。持ちこたえる。
あやなし:わけがわからない。筋が通らない。
もろし:こわれやすい。涙がこぼれやすい。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌