- 歌の意味
- 夜が明けてきたのに帰る家路も見えない。訪ねて来た槙の尾山は、すっかり霧が立ちこめてしまった。
- 鑑賞
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第三部 橋姫
明け方まで宇治に留まった薫が、帰り際に姫君たちへ差し向けた挨拶の歌である。垣間見のことは伏せたまま、霧に閉ざされて帰れないと述べて、なお留まりたい心を伝えている。これに大君が返し、薫と宇治の姫君との文の行き来がここから始まることになる。
「あさぼらけ」は夜がほのぼのと明けるころをいう。「槙の尾山」は宇治川のほとりに見える山の名で、実際の地名を詠み込むことで山里の朝の実感を出している。「霧こめてけり」は霧が一面に立ちこめたの意。帰れないと訴える型は挨拶歌の常套だが、姉妹の姿を見てしまった直後に置かれることで、立ち去りがたい心が言外に響く。
あさぼらけ:夜がほのぼのと明けるころ。
家路:家へ帰る道。
槙の尾山:宇治川のほとりにある山。
こむ:一面に立ちこめる。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌