- 歌の意味
- 雲のかかる峰の険しい山道を、秋霧がいっそう隔ててしまうころなのだ。
- 鑑賞
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第三部 橋姫
薫の「あさぼらけ」の歌に対する大君の返しである。父八の宮は山寺にこもっており、その山道を霧が隔てているという。霧に閉ざされて帰れないという薫の訴えを、父との距離の話へと受け流す形になっており、大君の慎み深さと隙のなさとがうかがえる。
「雲のゐる峰のかけ路」は雲のかかる山の険しい道で、父のこもる山寺へ通じる道を指す。「いとど」はいっそうの意である。相手の詠んだ「霧」の語を受け止めながら、その霧が隔てているのは自分と父であると言い換え、薫の言葉を巧みにかわしている。宇治十帖における薫と大君の距離の取り方が、最初の贈答からすでに示されている。
ゐる:居る。とどまる。
かけ路:崖に架けた険しい道。
いとど:いっそう。ますます。
隔つ:間に置いてさえぎる。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌