- 歌の意味
- 目の前で出家してこの世を捨てるあなたよりも、離れたところで別れていく私の魂のほうが悲しいのだ。
- 鑑賞
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第三部 橋姫
薫は宇治で老女房の弁から、自らの出生にかかわる古い手紙の束を託される。開いてみると、それは父柏木と母女三の宮が交わした文であった。この歌は、女三の宮が出家したと聞いた病床の柏木が、死を目前にして書き送ったものである。薫は父の筆跡になまなましく触れ、秘密を確かめることになる。
「この世を背く」は出家すること。「よそに別るる魂」は、そばにいられぬまま身から離れていく自分の魂をいう。出家という別れと死という別れとを並べ、後者のほうが悲しいと訴えている。柏木巻に描かれた過去が二十年余りを隔てて薫の手のうちで再び開かれるという構成になっており、宇治十帖の発端に父母の物語が組み込まれている。
目の前に:目の当たりに。
背く:出家して俗世を捨てる。
よそ:離れた場所。
魂:肉体を離れる霊。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌