- 歌の意味
- 涙ばかりが霧のように立ちふさいでいるこの山里では、垣根のあたりで鹿までが声を合わせて鳴いている。
- 鑑賞
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第三部 椎本
匂宮の弔問の歌に対する返しである。本来は中の君が返すところだが、悲しみに沈む妹に代わって姉の大君が詠んだ。父を失った直後の宇治の様子を、鹿の鳴き声に託して伝えている。匂宮はこれにさらに返歌し、都と宇治とのやりとりは続いていく。
「霧りふたがる」は霧が立ちこめてふさぐ意で、涙で目の前が見えないことをいう。「籬」は竹や柴で編んだ垣根。「諸声に鳴く」は声を合わせて鳴くことで、「鳴く」に「泣く」が掛かる。相手の詠んだ鹿を受け取りつつ、鹿と自分たちがともに泣いているという形に転じており、悲しみの深さがそのまま景色になっている。
霧りふたがる:霧が立ちこめてふさぐ。
籬:竹や柴で編んだ垣根。
諸声:声を合わせること。
鳴く:「泣く」を掛ける。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌