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色変はる袖をば露の宿りにて
わが身ぞさらに置き所なき

歌の意味
色の変わった袖は涙の露が宿るところとなっているが、この身にはさらに置き所というものがない。
鑑賞
第三部 椎本

 薫の弔問の歌に対する大君の返しである。父を失って後ろ盾をなくした姉妹の心細さを、露が置き所を失うという言い方で伝えている。薫はこの返歌に大君の人柄を見て、後見の約束を越えた思いを深めていくことになる。

 「色変はる袖」は相手の詠んだ喪服を受けている。「露の宿り」は露が置かれる場所のことで、涙に濡れた袖をいう。「置き所なき」は露の縁語である「置く」を用いつつ、身の置きどころがないという心細さに転じる。露と置くの縁語をたどるうちに、弔いの挨拶が身の上の嘆きへと深まっていく作りになっている。

露の宿り:露の置かれる場所。

さらに:その上に。まったく。

置き所:置く場所。身を寄せる所。

やどり:とどまる場所。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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