- 歌の意味
- 父上が亡くなって岩の懸け道の行き来も絶えてしまってから、松に積もる雪をも何と思って見ればよいのだろう。
- 鑑賞
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第三部 椎本
冬、雪の降り積もる宇治の山荘で、大君が妹の中の君に詠みかけた歌である。父が山寺にこもっていたころは、その山道を人が行き来していたが、今はそれも絶えた。中の君がこれに返し、姉妹だけで冬を越す寂しさが描かれる。
「岩のかけ道」は山荘と山寺とを結ぶ険しい道を指す。「松の雪」は雪の積もった松で、冬の山里を代表する景である。かつては父を思って眺めた景色が、今は見る意味を失ったという。「なにとかは見る」の反語が、喪失によって世界の見え方そのものが変わってしまったことを言い当てている。
かけ道:崖に架けた険しい道。
絶ゆ:途絶える。
松の雪:松に積もった雪。
なにとかは:何と。反語を表す。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌