- 歌の意味
- 雪の深い山の懸け橋には、あなたのほかに踏み分けて通ってくる跡を見ることがない。
- 鑑賞
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第三部 椎本
雪を分けて宇治を訪れた薫に対し、大君が詠んだ歌である。匂宮の文には誰が返事を書いているのかと薫が探りを入れたのに応じて、通ってくるのはあなただけだと答えている。薫はこれに返して、なお踏み込んだ気持ちをのぞかせることになる。
「かけはし」は谷に架けた危うい橋で、宇治へ通う道の険しさをいう。「ふみかよふ」の「ふみ」に「踏み」と「文」を掛け、実際に足を運ぶことと手紙を交わすこととを重ねる。誰も来ないという事実の報告が、そのまま相手への謝意にも、また匂宮との関係を否定する返答にもなっており、言葉数の少ない大君らしい一首である。
かけはし:谷に架け渡した危うい橋。
君ならで:あなた以外に。
ふみかよふ:踏み分けて通う。「文通ふ」を掛ける。
跡:足跡。筆跡。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌