- 歌の意味
- 秋霧の晴れない空で、いっそう強く、この世は仮のものだと雁が鳴いて知らせているのだろう。
- 鑑賞
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第三部 椎本
八の宮を失った後、宇治の空をわたる雁を見上げて薫がひとり詠んだ歌である。もともと世の無常に心を寄せていた薫にとって、宮の死はその思いを決定的にする出来事であった。以後、薫は出家への志と大君への恋との間で揺れ続けることになる。
「かり」に「雁」と「仮」を掛ける。雁の声が、この世は仮の宿りだと告げているように聞こえるという趣向である。「雲居」は雲のある空で、晴れない秋霧が晴れない心に重なる。八の宮が説き、薫が受け継いだ無常観が、この短い独詠のうちに凝縮されている。
雲居:雲のある空。
いとどし:いっそう甚だしい。
かり:雁。「仮」を掛ける。
言ひ知らす:言って知らせる。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌