- 歌の意味
- 貫きとめることもできずこぼれる、もろい涙の玉の緒に、末長い約束をどうして結べるだろう。
- 鑑賞
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第三部 総角
薫の総角の歌に対する大君の返しである。父の遺言を守って結婚を避けようとする大君は、自らの命の短さを理由に、長い約束は交わせないと答えている。薫はそれでも諦めず、この後、几帳を隔てての語らいや夜の訪れが繰り返されていくことになる。
「ぬく」は糸を通して貫くこと、「玉の緒」は玉を貫く緒で、命の意も併せ持つ。涙の玉を糸に貫きとめられないという言い方によって、頼りない身と短い命とを同時に示している。相手の「結ぶ」をそのまま受け、糸の縁語で応じながら求婚を退けており、教養と拒絶とが一つの言葉づかいのうちに収まっている。
ぬく:糸を通して貫く。
あへず:…しきれない。
玉の緒:玉を貫く糸。命のたとえ。
もろし:こわれやすい。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌