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山里のあはれ知らるる声々に
とりあつめたる朝ぼらけかな

歌の意味
山里のしみじみとした情趣が思い知られるさまざまな声に、あれこれの思いが集まってくる明け方であることよ。
鑑賞
第三部 総角

 薫は大君の居所に近づいたものの、何事もないまま夜を明かす。明け方、鳥の声や鐘の音が入りまじるのを聞きながら詠んだ歌である。大君はこれに返し、薫の思いはこの夜もまた遂げられぬままに終わっている。

 「あはれ知らるる」はしみじみとした情趣が自然に感じられること。「とりあつめたる」に「鳥」を掛け、さまざまな鳥の声と、寄せ集まってくる思いとを重ねている。山里の明け方という景をそのまま心情に転じる詠み方で、何も起こらなかった一夜のもどかしさが、音の描写だけで伝えられている。

あはれ:しみじみとした情趣。

声々:さまざまな鳴き声。

とりあつむ:寄せ集める。「鳥」を掛ける。

朝ぼらけ:夜がほのぼのと明けるころ。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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