- 歌の意味
- 鳥の声も聞こえない深い山だと思っていたのに、世のつらいことはここまで訪ねて来たのだった。
- 鑑賞
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第三部 総角
薫の歌に対する大君の返しである。人里離れた宇治にいれば世のわずらわしさとは無縁でいられると思っていたのに、そうではなかったという。薫の求愛そのものを「世の憂きこと」と言い切っており、拒む意思ははっきりしている。
「鳥の音も聞こえぬ山」は人跡の絶えた深山をいう常套の言い方で、相手の詠んだ「声々」を受けている。「世の憂きこと」は男女の煩わしさを指す。相手の情趣ある詠みぶりを、そのまま現実の苦さへ引き戻す構えであり、父の遺言を守ろうとする大君の姿勢が短い一首に凝縮されている。
鳥の音:鳥の鳴き声。
世:男女の仲。世間。
憂し:つらい。わずらわしい。
訪ね来:探して来る。
- 作者
- 紫式部
- 出典
- 源氏物語
- その他の歌