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小夜衣着て馴れきとは言はずとも
かことばかりはかけずしもあらじ

歌の意味
夜着を着て馴れ親しんだ仲とまでは言わないが、恨み言くらいは言わせてもらってもよいだろう。
鑑賞
第三部 総角

 匂宮と中の君が結ばれた後も、薫と大君の間は変わらないままである。薫は、几帳を隔てて語り合い、顔まで見た仲であることを持ち出して、冷たくあしらわれる筋合いはないと訴える。大君はこれにも返歌して、あくまで一線を引き続ける。

 「小夜衣」は夜具や寝間着のことで、共寝を暗示する。「馴る」は「着馴る」と「馴れ親しむ」の掛詞で、衣の縁語である。「かこと」は恨み言、言いがかりの意。契りは結んでいないと認めたうえで、それでも恨む資格はあると言い張っており、押しの強い詠みぶりになっている。

小夜衣:夜に着る衣。夜具。

馴る:着馴れる。親しくなる。

かこと:恨み言。言いがかり。

かく:言葉をかける。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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