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桜こそ思ひ知らすれ咲き匂ふ
花も紅葉も常ならぬ世を

歌の意味
桜こそが思い知らせてくれる。咲き匂う花も紅葉も、変わらずにはいられないこの世であることを。
鑑賞
第三部 総角

 紅葉狩の唱和の二首目で、薫が詠んだ歌である。前の歌が春の桜を思い出したのを受け、その桜こそが無常を教えるものだと応じている。八の宮を失い、大君との仲も定まらぬ薫の心のありようが、遊宴の場にあってもなお無常の色を帯びている。

 「思ひ知らす」は悟らせるの意である。桜は咲いてすぐ散る花として、古来無常のたとえに用いられてきた。「花も紅葉も」と並べることで、春秋の美しいものがことごとく移ろうことを言う。座興の唱和でありながら、薫の口を通すと仏教的な無常観の表明になるところに、この人物の一貫した造型が見える。

思ひ知らす:悟らせる。思い知らせる。

咲き匂ふ:美しく咲く。

紅葉:秋に色づいた葉。

常ならぬ世:無常のこの世。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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